千歳駅のコインロッカー事件について記事をいくつか読んだ。
漫画家・山田花子※1の言葉を思い出した。
- 「焦ることはない」とか言って慰められると「病人」は余計に追い詰められる。※2
- 「尽くす事」「耐える事」が美しいなんて思っているのはテメーだけ。恋愛とは互いに奪い合うものなんだよ。※2
※1:山田 花子(やまだ はなこ、1967年6月10日 - 1992年5月24日)
※2:自殺直前日記より
千歳コインロッカー事件で逮捕された女性は、小学校~社会に出るまで、集団に受け入れられないという経験をしている。
彼女の人生をまとめた記事があり、抜粋ではあるが整理してみようと思う。
【千歳コインロッカー事件概要】
2022月6月10日、駅のコインロッカーに嬰児を遺棄したとして当時22歳の女性が逮捕された。一審で下った判決は、実刑5年。
【被告女性】
■家族構成と環境
- 共働きの両親と4歳下の妹の4人家族
- 夫婦の諍いが多く、子供へストレスを与える環境
■小学生時代
- 忘れ物が多い/部屋の片づけができないなどと母からガミガミと叱られるようになる
- いじめにあっていたことに母親は気づかない
- 母から妹と比較するような発言が増える(妹はできるのに、なぜ…等)
<おかめも>
常に漠然とした疑問や怒りが生まれていたのでは?
∟なぜ妹と比べられるのだろうか
∟なぜありのままの自分は受け入れられないのか
∟なぜ自分は人と同じことができないのだろうか
∟焦れば焦るほど、上手くできない自分にイライラ
■中学生時代
<おかめメモ>
彼女がどの程度、ソフトボールに対して本気かはわからないが、特訓と言われると熱量の差に困惑してしまう。
家族総出での応援も嬉しいこともあるが、妹と比べられていたり、上手くやれないことをガミガミ怒られている環境だと逆に緊張してプレッシャーでしかなさそう。
■高校生時代
- 高校は、本人の希望とは異なる高校に進学(親の主導)
- 部活でいじめを受けるが、母親が介入して阻止
- 1つ下の男性と交際を始め、交際にのめりこむ
∟唯一いじめの悩みを相談できる相手だったそう。 - 衝動的な行動が目立つようになる
∟親の抑止をきかず、2階から飛び降りる
∟窓から抜け出して彼の家にいってしまう等 - 母親に連れられて心療内科へ
∟衝動を抑える薬を出されるも服用せず
<おかめも>
思春期に親に連れていかれる心療内科、か…。
親は決して子供を愛していないわけではなさそうだ。ただ、その”愛情”が女性にはうまく伝わっておらず、妹には伝わっていたのかな。
そして、幼少期の妹との比較はずっと残っちゃうよね。
■社会人として
- 地方企業に就職
- 仕事の手順が覚えられず上司から厳しくあたられる
- 同僚には仲間はずれにされる
- 妊娠発覚、両親の説得で中絶(相手が高校生という理由)
- 中絶後、社内で事実ではない噂を流され居場所をなくす(「お前だけ幸せになるなんて」と赤ちゃんに責められているような気持ちがするなど、心に傷を負う)
- 衝動的な行動が加速
- 大阪に就職した恋人を追って家出
- 住み込みの工場勤務を半月でやめデリヘルの仕事に就く(研修として、店長から性行為を強要される)
- 1年ほどで実家に戻り、弁当屋に勤務
- マッチングアプリで仙台在住の男性(大学生)と知り合い、家出
- 仙台のデリヘルに勤務
- 男性が大学のが奨学金を競馬につぎ込んでいたが、その責任を転嫁される(デリヘルでの収入を大学生に払いつづけなくてはならない状況となる)
- 常連客に避妊をしないレイプまがいの行為を強要され、経口中絶薬を手に入れることができず、妊娠(保険証がなく産婦人科の受診もできなかった)
- 男性が就職し札幌に転勤したため、追いかけて札幌へ(同棲はしておらずホテルを転々とする生活)
<おかめも>
地方怖すぎ。
いい人ぶりたい人や、人を騙そうとする奴ほど「君のことが心配だ」とか「ずっと味方だよ」と言う。それは頭ではわかっていたけど、居場所(心のよりどころ)を求めていただのだろうか?
衝動的な行動ができても、咄嗟の判断が難しい子だったのだろう。「落ち着こう」と思えば思うほど余計に焦ってしまう子多いもんな…。
■出産
- 男性との食事中に陣痛が始まる
- 食事を終えて、ホテルに戻るも夜を通して陣痛は続く
- ホテルの室内をひたすらに歩いて痛みを逃す
- 翌日の夕方に、浴槽に張ったお湯の中で出産
∟お湯からひきあげると2回、産声をあげた - この時目が合い「自分ばかり幸せになって」と責められたように感じ、
赤ちゃんをお湯に沈める。 - その後、出産の疲労から寝落ちし目が覚めて水中から引き揚げた赤ちゃんは冷たくなっていた。
<おかめも>
いや、男。妊娠に気づいていたのか?
後の発言を見るに、気づいていたけど「どうでもいいや」だったのか?
親の説得でした中絶の時の心の傷が爆発したのだろう…。
■男性
- 男性は事件発覚後、取り調べで金銭目的で利用していたことを認めている。
「恋人とは思っていなかった」
「デリヘルで働いている女性は恋人にしたくない」
■両親
- 女性が仙台へ家出したあと、両親は女性のつくったサラ金の借金対応に追われていた。
- 両親は仙台に行き、娘を探し歩いたりもした。警察に捜索願を出していた。
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精神鑑定結果は「境界知能とADHDグレーゾーン」とされている。
発達症には自己の痛みを感じる力が弱い特性があるようだ。
検察官は「発達症といっても程度が軽い」「臨床的に使われているが境界知能という診断名はない」とし、発達症や境界知能との関連性を否定し、量刑には反映されなかった。
検察は一貫して、殺害遺棄の動機を「自分の幸せだけを考えた身勝手な犯行」と主張しているようだ。
もちろん、何の罪もない生まれたての命を亡きものにした罪はある。
グレーゾーンとは何なのか?
カテゴライズできなければ、どんな人生を歩んでいようが考慮されないのか?過去の事件で何度も同じことを思ったが、今回も「またか」となった。
「自分の幸せだけを考えた身勝手な犯行」はこの世に溢れすぎている。
自分の理想の子供/家庭を作るための”教育””躾”だって同じことだ。
親の理想のための”教育””躾”で苦しむ時期はあるものだし、
その苦しみが大きくなってしまい、どんどん闇に落ちていく子もいる。
見つからなければ”犯行”にならないだけだろう?
”子供”が好き勝手に快楽のためだけに性行為をする。
とりあえず産んでみたり、どうすればいいかわからないうちに産まれてしまったという類の話はよく聞く。
”子供”に子育てができるわけもなく、ほっといても死なないからいいか、という具合に”ただ死んでいないだけ”の命はいくつもある。
虐待として発覚すれば犯行となり、この”子供”たちが発達症だとハッキリと診断されれば量刑に反映されるのだろう?
人類は滅びたほうが地球にはいいのだろうと少し思っている。
少子化が進み、このままでは日本人がいなくなってしまうという前に、現在ただただ”死んでいないだけ”の命を大事にしたいと思った。
ちょっと何言ってるか自分でもわからないけど。
(参考記事:詳細が知りたい場合は以下)